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AIがもたらす企業DXの転換点 - エンジニアがいなくてもAI活用できる時代へ

概要

本記事は、仙台で行われたビジネスパーソン向け講演の内容をまとめたものです。尾原氏が語る最新のAI動向と、それが企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)に与える影響について、特に大企業も中小企業も、社内にエンジニアがいない企業でもAI活用が可能になった現状と、その背景にある3つの革新的な変化について解説します。

AIによる雇用の変化 - エンジニアとMBA卒業生に起きている現実

重要ポイント

  • MicrosoftやAmazonなどの大手テック企業が、AI導入を理由に大規模な人員削減を実施
  • コンピューターサイエンスやMBAの卒業生が就職難に直面
  • 一方で、リアルビジネスに近い分野ではAIによってむしろ競争力が向上する可能性

いよいよ大企業も中小企業も、社内にエンジニアがいない方でもAIが活用できる時代になりました。これは単なる技術の進歩ではなく、ビジネスの根本的な変革を意味しています。

最近の動向として特に注目すべきは、2025年5月13日、マイクロソフトは全社で約6,000人の従業員削減策を発表した。これはマイクロソフトの全従業員22万8,000人の3%弱に相当するという事実です。さらに衝撃的なのは、サティア・ナデラCEOは、同社の一部プロジェクトでは最大30%のコードがAIによって生成されていることを明らかにしている点です。

同様に、米マイクロソフトが先日発表した大規模な人員削減では、製品開発を担うソフトウエアエンジニアが主な削減対象となったのです。ブルームバーグが確認した米ワシントン州の文書によると、今回、削減対象とされた州内の従業員約2000人のうちソフトウエアエンジニアリング職が40%余りと、職種別で最多となったという状況です。

アメリカでは、コンピューターサイエンスを専攻している大学生が就職できないという事例が出てきています。同じようにAIによってMBA的な考え方が簡単にできるようになってきたため、MBA卒業生からも就職ができない状況が生まれています。

実際、ハーバード・ビジネススクールの2024年卒業生の15%が、卒業から3か月経っても就職先が決まっていません。これは2022年の10%から急激に悪化した数字で、新型コロナ禍よりも深刻な状況です。さらに、主要ビジネススクール30校の調査では、2024年に就職率が改善したのはわずか2校のみ。28校すべてで就職率が悪化しました。

むしろMBAの卒業生やコンピューターサイエンスを出たエンジニアの方がAIに置き換えられて就職ができない時代になってきています。

しかし、これを単純にAIに仕事が置き換えられると捉えるのは早計です。まだまだAIに置き換えられない仕事というのは、対人接点であったり、まだAIにデータが載っていないクローズドな知識を扱う分野です。こういった分野はむしろAIによって他の部分を置き換えられるから競争力が持てるわけです。

つまり、よりリアルビジネスに近いところの方が、今まではエンジニアが採用できないから、うちにはMBAを取ったような人なんて無理だと思っていた会社であればあるほど、実はAIによってDXが進んでいく。コスト削減というよりはむしろ付加価値が上がっていくというポテンシャルがあるというのが事実なのです。

なぜこんなに風景が変わったのか - 3つの変革

重要ポイント

  • リーズニング(推論)によりAIが人間の意図を理解できるように
  • AIエージェントによる分業で効率的な処理が可能に
  • コーディングの自動化により開発効率が100倍に向上

以前まで「部屋に行って、なんか魔法の正解のプロンプトを入れないと動かないよね」とか「ちょっと相手遅いし使いにくいよね」と言われていたものが、なんでこんなに風景が変わったのでしょうか。

これについて解説していくと、去年の10月頃(注:OpenAIのo1モデルは2024年9月12日にプレビュー版がリリース)に、3つの変革が起きたことが大きいのです。正確には2つの変革がすでに起きていて、最後の変革というのはこれからむちゃくちゃインパクトが出ることなのです。

その3つとは何かというと:

  1. リーズニング(推論)
  2. AIエージェント
  3. コーディングの自動化

リーズニング - AIが考える時代へ

リーズニングとは、AIを大きくして答えるよりもAI自体に考え方を考えさせることによって、複雑な問題を解決できるようになったことです。o1は回答する前に思考します—ユーザーに応答する前に長い内部思考連鎖を生成できます。

特に大事なのは、ユーザーの言っている意図というのを解釈したり、ユーザーの言っている意図を実際ウェブの情報に当ててみて、実際現実的に答える回答の中でいかに実行的な答えを出すかということができるようになったことです。

これによって、AIにフィットした魔法のプロンプトを人間が合わせて考えるのではなく、人間の言っていることやウェブ上にある情報に合わせてAIが考えるという風に変わったのが大きいのです。

AIエージェント - 分業による効率化

そしてこれとむちゃくちゃ相性が良かったのがAIエージェントです。AIがこの要望に答えるためには、こういうステップで物事を考えていこうということができるようになると、じゃあそのステップに特化したAIが分業をした方がいいんじゃないか。しかもその分業されたAIが1人1人が自律的にいろんなことを、目の前の情報を見ながら考えるということができるといいんじゃないか。

こうやってリーズニングによって分解されたものが、1つ1つのAIが連携しながら実施していくことで、より現実的な対応、しかも分業してやっていくので、小さなAIのモデルでも効率的に動くようになった。これが大きいのです。

特にエージェントになって良かったのが、ハルシネーション(AIが嘘をつく)ということを防ぎやすくなることです。なぜかというと、AIの性質は要望されたことに最大公約数を答えようとするんです。そうするとユーザーからの要望として「できるだけクリエイティブなアイデアを出してよ」という要望と「でも嘘はつかないでね」という要望を2つあった時に、要は発散思考と収束思考を両方やってって同時に言われるので、そこで混乱が起きてしまうわけです。

だったら分業として、できるだけクリエイティブに拡散で考えるエージェントが出した出力を、めちゃめちゃ厳格なファクトチェッカーとしてウェブ上の事実を拾ってきて「これ嘘じゃないの?」ということに厳密に調べる。という分業になると、両方の要望を答えることができるので、クリエイティブだけどファクトにしっかりという風なアウトプットが出せるようになったのです。

つまり、このリーズニングとAIエージェントが出てきたおかげで、まるでMBAが考えたような事業計画の中に、プロのコピーライターが作ったアウトプットとして事業計画のプレゼンの骨子が生まれるみたいなことができるようになったわけです。だから、MBA的な知識そのものが大量にAIがトレーニングしたデータの中にあるし、さらにじゃあこういった戦略のケースっていうものをウェブでエージェントが調べてきて、今あなたの会社に近いケースですと、ベストプラクティスはこうですよ、DXパターンはこうですよ、みたいな提案も考えてくれる。こういう風になったわけです。

コーディングの自動化 - エンジニアのリストラの世界

3番目、エンジニアのリストラの世界。今起きている変化、コーディングの自動化です。

今まではAIによる支援によってプログラム開発の効率は3倍になると言われていたものが、最近私の周りにいる東京だったり、シンガポールや東南アジアのスタートアップでは100倍という話になっています。

つまりもう1/100のことをやるだけ。つまりそのどんなシステムを作りたいんだという全体概要の要望を伝えるだけで、残りの99%はもう自動でやってくれる世界。こういうのが来ています。

実際これがものすごいので、このコーディングの自動化ツールのメジャーの1つであるWindsurf(ウィンドサーフ)というものが、OpenAIは約30億ドルでWindsurfを買収することで合意したのです。これはChatGPTメーカーのこれまでで最大の買収となるという規模です。

同様に、そういった開発ツールであるDevin(デビン)だとかCursor(カーサー)だとか、こういったものもすごい売上を伸ばしています。Cursorは、マーケティングに1ドルも使っていないにもかかわらず、史上最も急成長しているスタートアップの1つになったという状況です。

実際の活用例 - ダラダラ喋った内容がプレゼンテーション資料に

重要ポイント

  • 音声録音した内容をAIが自動で記事化
  • HTMLという言語で書かれたWebプレゼンテーションも自動生成
  • 注文画面や業務ツールなども自然言語で作成可能に

実際このプレゼンテーションというのが尾原がダラダラと音声録画でやったものを、スマホに入っている音声文字起こしでリアルタイムに書き起こしてくれます。

このダラダラと喋ったものをAIに入れて記事化したものが、今お見せしているこれです。このクオリティの記事がもうできちゃってるわけです。

さらにこの記事というものを、コードの自動化でプレゼンテーション資料というのも実はWebのような形でデザインで記述できるわけです。WebというのはHTMLという言語で書かれているので、じゃあそのHTMLの言語というものが自動コーディングという形で生成されます。

こんな風にもうできる時代というのが来ているわけなんです。これはWebという形でのプレゼンテーションというものを、尾原がダラダラと喋ったものからできちゃいましたね、という話をしました。

これと全く同じようなことがあなたのサービスでやっている注文画面だったりとか、オンラインでのコマース画面だったりとか、内部のあなたの工場の中でやっている業務ツールだったり、こういうものがもうそのダラダラとこういうことやりたいんだよね、で、アウトプット出る。こういう風にもっとして欲しいんだよね、っていうことを言ってるだけで作れるという時代が今来ているわけです。

さらにこのコードの自動化っていうのはエグくてですね、今の生成AIって1個だけ欠点があるんですよ。今の生成AIは一言で言うと確率で動くから揺れる。そして、ものすごい大きいサイズのAIを使おうとするとどうしても値段が高くなっちゃうんです。

だから完璧なコールセンターの対応みたいなのが出ても、1つの回答をするのに、やっぱり100円かかっちゃいます、みたいなことがあったりするわけです。そうすると結構大変ですよね。

でも、コーディングが自動化していくと、今までの回答パターンみたいなものをデータベースにどんどん貯めてあるものを全部整理していって、毎回AIを動かすのではなく、プログラムで動かしましょうという風にプログラミングすると、そのプログラムされた範囲の中では安く自動的に動くことができるわけです。

こういう世界ってのがもう、その半年から1年で動いて、少なくともこういうプレゼンテーション資料というものを今お見せする形で実施されているっていうことが起こっているわけです。

まとめ - AI DXの劇的な変化

この話をまとめていくと、もうすでにAIがMBAのエリートやコンピュータープログラマーを置き換えてくれるという時代は、むしろそういった人材は足りないからポテンシャルを生かしきれなかった企業にチャンスになる。

しかも今までの生成AIというのは、その指示の仕方を学ばないと、なかなかうまくいかなかったことが、根気強くやり取りを続けていく、ないしは、ダラダラと大量にインプットを与えるということをやると、これだけのものが動く時代になっていく。

つまりリーズニング、AIエージェント、そしてコーディングの自動化、この3つによって、今日ご出席の皆さんのAI DXというものが劇的に変わっていく。こういう時代に来ているということを皆さんにお伝えしたかったんです。

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