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定期巡回事業 管理者向け完全マニュアル

【第1巻:制度理解・基礎知識編】


はじめに:この本の使い方

このマニュアルは、現場上がりで3年目の新卒社員でも理解できるよう、実務に即した内容で構成されています。

こんな人に読んでほしい:

  • 定期巡回の管理者になったばかりの方
  • 制度の基本から学び直したい方
  • 実務でよくある疑問をすっきり解決したい方

読み方のコツ:

  • 分からない部分は飛ばしてOK
  • 実務で困った時の辞書として活用
  • 第2巻以降と合わせて総合的に理解

第1章:定期巡回サービスって何?

まずは全体像を掴もう

定期巡回サービスを一言で説明すると、**「24時間365日、利用者さんを支える家族のようなサービス」**です。

例えるなら:

  • 訪問介護 = 「時間で区切られた部分的なお手伝い」
  • 定期巡回 = 「いつでも頼れる家族」

定期巡回が生まれた背景

なぜ定期巡回が必要になったのか?

訪問介護では解決できない問題がありました:

❌ 訪問介護の限界

  • 夜中に転倒→「2時間ルールで次の訪問まで待つ」
  • 薬を飲み忘れ→「決められた時間以外は対応できない」
  • 排泄トラブル→「時間外なので緊急対応不可」

⭕ 定期巡回の解決策

  • 24時間いつでも駆けつけ
  • 時間に縛られない柔軟な対応
  • 回数制限なし

定期巡回の基本構造

定期巡回は4つのサービスがセットになっています:

1. 定期訪問

決まった時間に訪問するサービス

  • 朝6時:起床介助・朝食準備
  • 昼12時:服薬確認・安否確認
  • 夜21時:就寝介助・夜間準備

2. 随時対応(24時間電話対応)

いつでも電話相談できるサービス

実際の電話例: 「夜中の2時に利用者さんから電話」 利用者:「明日の外出準備ができているか心配で眠れない」 オペレーター:「大丈夫です。玄関にちゃんと準備してありますよ。安心してお休みください」

3. 随時訪問(緊急駆けつけ)

必要な時にすぐ駆けつけるサービス

実際の駆けつけ例: 「夜中に転倒して動けなくなった」 →「10分後に伺います」と即座に駆けつけ

4. 看護サービス

医療面をサポートするサービス

  • 医師の指示書がなくても利用可能
  • 月1回の生活アセスメント(事業所負担)
  • 必要に応じて医療的ケア

第2章:3つのタイプを理解しよう

定期巡回には3つのタイプがあります。どれを選ぶかで運営方法が変わるので、しっかり理解しましょう。

一体型:看護師を自社で雇う

特徴:

  • 自社に看護師2.5人以上配置
  • 医療と介護を一体的に提供
  • 全て自社で完結

メリット:

  • 迅速な医療対応
  • 情報共有がスムーズ
  • 収益が全て自社に

デメリット:

  • 看護師確保が困難
  • 人件費が高い
  • 夜間オンコール負担

こんな事業所におすすめ:

  • 医療依存度の高い利用者が多い
  • 看護師の確保にめどが立つ
  • 訪問看護事業も展開したい

連携型:地域の訪問看護と連携

特徴:

  • 地域の訪問看護ステーションと連携
  • 介護部分は自社、医療部分は連携先
  • 最も一般的なタイプ

メリット:

  • 看護師の自社配置不要
  • 初期投資を抑えられる
  • 地域の専門性を活用

デメリット:

  • 連携調整に手間
  • 情報共有にタイムラグ
  • 訪問看護の都合に左右される

こんな事業所におすすめ:

  • 看護師確保が困難
  • 地域に協力的な訪問看護がある
  • まずは小さく始めたい

みなし一体型:戦略的な選択肢

特徴:

  • 定期巡回利用者のみを対象とした訪問看護ステーション
  • 制度上は「一体型」だが実質は限定的

メリット:

  • 「制度上、定期巡回以外はできません」という断り文句
  • ケアマネとの関係悪化を防止
  • 営業がしやすい

デメリット:

  • 看護師の確保が必要
  • 制度理解が必要

実際の営業場面での活用: ケアマネ:「うちの○○さんにも訪問看護お願いできますか?」 管理者:「申し訳ございません。うちはみなし訪問看護なので、制度上、定期巡回利用者さん以外は対応できないんです」


第3章:お金の話をマスターしよう

包括報酬制度の基本

定期巡回は包括報酬制です。これが訪問介護との大きな違いです。

訪問介護の場合:

  • 身体介護30分 = 250単位
  • 生活援助45分 = 183単位
  • 回数×単位数で計算

定期巡回の場合:

  • 要介護1 = 月額5,446単位(固定)
  • 要介護5 = 月額25,140単位(固定)
  • 何回訪問しても同じ金額

要介護度別単位数一覧

要介護度月額単位数1日あたり1割負担(月額)
要介護15,446単位179単位約5,400円
要介護29,249単位304単位約9,200円
要介護316,140単位531単位約16,100円
要介護420,674単位680単位約20,600円
要介護525,140単位827単位約25,100円

支給限度額との関係

多くのケアマネが誤解していることですが、定期巡回を使っても他のサービスは十分使えます

要介護3の例:

  • 支給限度額:27,048単位
  • 定期巡回:16,140単位
  • 残り:10,908単位

この残り単位で以下が利用可能:

  • 福祉用具:2,500単位
  • デイサービス:週2回程度
  • ショートステイ:月3日程度

デイサービス利用時の減算

重要なポイント: デイサービスに行った日は、定期巡回の訪問がないため176単位が減算されます。

要介護3で月10回デイサービスの場合:

  • 基本:16,140単位
  • 減算:176単位×10日 = 1,760単位
  • 実際:14,380単位
  • 減算分がケアマネの使える単位に戻る

主な加算について

初期加算(必須理解)

  • 30日間(1ヶ月ではない)
  • 1日30単位
  • 30日×30単位 = 900単位
  • 支給限度額に影響する

その他の加算

  • 総合マネジメント体制強化加算
  • サービス提供体制強化加算
  • 処遇改善加算
  • これらは支給限度額外だが、利用者負担には影響

第4章:他サービスとの使い分け

併用できるサービス

⭕ 併用可能:

  • デイサービス・デイケア
  • ショートステイ
  • 福祉用具
  • 訪問入浴
  • 訪問リハビリ
  • 通院等乗降介助

❌ 併用不可:

  • 訪問介護(制度上不可)
  • 夜間対応型訪問介護(同内容のため)

訪問介護との使い分け指針

訪問介護が向いているケース:

  • 状態が安定している
  • 決まった時間でのサービスで十分
  • 回数が少ない(週2〜3回程度)

定期巡回が向いているケース:

  • 状態に波がある(パーキンソン病など)
  • 夜間・早朝の対応が必要
  • 頻回の安否確認が必要
  • 服薬管理に課題がある
  • 排便コントロールが必要
  • ターミナル期
  • 独居で不安が強い

医療保険との使い分け

医療保険での訪問看護が優先されるケース:

  • 特別管理加算対象者
  • 週4回以上の訪問看護が必要
  • リハビリテーション集中期

定期巡回内の看護で対応するケース:

  • 生活面のアセスメントが中心
  • 月1〜2回程度の看護で十分
  • 介護との連携が重要

第5章:ケアプラン作成の実務

1表・2表・3表の変更点

1表(基本情報)

変更なし

  • 本人の希望:「安心して家で暮らしたい」
  • 家族の希望:「在宅生活を継続してほしい」
  • 総合的援助方針:ほぼ定型的

2表(サービス計画表)

左側は変更なし:

  • 長期目標・短期目標
  • サービス内容

右側が変更:

❌ 訪問介護の場合:

  • 週3回、○曜日○時〜○時
  • 身体介護○分、生活援助○分

⭕ 定期巡回の場合:

  • 「毎日」
  • 「必要時」
  • 「随時」

「必要時」の活用法

重要ポイント: 将来必要になりそうなサービスを「必要時」に記載することで、軽微な変更として担当者会議を省略できます。

記載例:

  • 必要時:買い物、洗濯、掃除
  • 必要時:入浴介助、通院同行
  • 必要時:薬の受け取り、点眼介助

3表(週間スケジュール)の作成

2つのアプローチ:

1. 塗りつぶし方式

全時間帯を定期巡回で塗りつぶし

2. 1本線方式(推奨)

0時〜23時59分を1本の線で表現

理由: 24時間365日サービス提供の準備をしているため、特定の時間を指定する必要がない


第6章:提供票・実績票の実務

提供票作成の基本

特徴:

  • 非常にシンプル
  • 「0時から23時59分」の1本線
  • 時間指定なし

記載例:

○月○日 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
     看護サービス:有・無
     0:00〜23:59 ○○○○単位

減算処理の注意点

デイサービス利用日:

  • 必ず176単位を減算
  • サービスコードの確認必須
  • ケアマネの言うことを鵜呑みにしない

実績票作成のポイント

日割り算定:

  • 月途中開始・終了は日割り
  • 契約日からの算定開始
  • 入院時は1日でもサービス提供があれば算定可能

加算の処理:

  • 初期加算:最初の30日間
  • その他の加算:事業所の体制による

第7章:地域密着型サービスの特性

対象地域の制限

基本原則: 事業所の住所がある市町村の住民票を持つ方が対象

例外的な対応:

  • 近隣市町村からのサービス提供が可能な場合もある
  • 行政に事前確認が重要

実際の運用での注意点

よくある問題:

  • サービス付き高齢者向け住宅の住所
  • 住民票の移動タイミング
  • 病院からの直接入居ケース

対応方法:

  • 住民票の確認を忘れずに
  • 転入予定がある場合は行政と相談
  • 地域包括支援センターとも連携

第8章:よくある質問と回答

Q1:訪問介護から定期巡回に変更するメリットは?

A:

  • 24時間対応の安心感
  • 時間に縛られない柔軟なケア
  • 回数制限なし
  • 夜間・深夜の割増なし
  • 看護との連携によるトータルケア

Q2:「生活援助はできない」と聞いたことがあるのですが?

A: これは大きな誤解です。

  • 介護保険でできることは全て対応可能
  • 調理、掃除、洗濯、買い物も実施
  • 時間にとらわれない分割対応も可能

Q3:他のサービスが使えなくなるのでは?

A: 併用可能なサービスは多数あります:

  • デイサービス、ショートステイ
  • 福祉用具、訪問入浴
  • 支給限度額にも余裕があることが多い

Q4:ケアマネが変わるのですか?

A: 変わりません

  • 小規模多機能とは違います
  • 担当ケアマネはそのまま
  • むしろケアマネの負担軽減になります

Q5:費用が高いのでは?

A: 1日あたりで計算すると意外に安価:

  • 要介護1:179単位/日
  • 24時間対応でこの単価は割安
  • 施設入所と比較すると大幅に安い

第9章:管理者として押さえるべきポイント

制度理解の重要性

なぜ制度理解が必要か:

  1. ケアマネへの正確な説明
  2. 適正な算定・請求
  3. 監査への対応
  4. サービスの質向上

よくある算定ミス

注意すべきポイント:

  • 契約日と算定開始日のズレ
  • 減算の計算間違い
  • 加算の算定要件不備
  • 入院時の取り扱い

ケアマネとの連携で重要なこと

信頼関係構築のポイント:

  1. 制度の正確な理解と説明
  2. 利用者中心の姿勢
  3. 迅速で丁寧な報告
  4. 困った時の相談対応

スタッフ教育のポイント

必須理解事項:

  • 定期巡回の4つのサービス
  • 訪問介護との違い
  • 時間に縛られない柔軟性
  • 24時間対応の意味

まとめ:第1巻のポイント

1. 定期巡回は「24時間の家族」

時間に縛られない柔軟で包括的なサービス

2. 3つのタイプを理解

一体型・連携型・みなし一体型それぞれの特徴

3. 包括報酬制の仕組み

回数に関係なく月額固定、他サービスとの併用も可能

4. ケアプランの特殊性

「毎日」「必要時」「随時」の活用

5. 地域密着型の制約

住民票所在地の確認が重要


次巻予告:第2巻「営業戦略・地域展開編」

第2巻では、この制度理解を基に、実際にどう地域に広めていくか、ケアマネとどう関係を築くかの実践的な営業戦略を詳しく解説します。

主な内容:

  • 地域調査の具体的方法
  • ケアマネの心理と対応法
  • 営業トークの組み立て方
  • 実績配布による関係構築
  • 成功事例の活用法

第1巻で制度をしっかり理解したら、第2巻で実践的なスキルを身につけましょう!


このマニュアルは実際の現場経験に基づいて作成されています。疑問点があれば、いつでも上司や先輩に相談してください。

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